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仲介手数料以外の報酬の受領について弁護士が解説

不動産の売買や賃貸借の仲介に携わっていると、仲介手数料だけでは対応しきれない業務が発生する場面が少なくありません。物件の活用方針を一緒に考えたり、相続がらみの相談に応じたり、境界や近隣との調整に時間を割いたりすることは、現場ではごく普通に起きています。こうした業務について仲介手数料とは別に報酬を受け取ってよいのか、不動産会社の経営者や担当者から相談を受ける機会が増えています。本稿では、仲介手数料以外の報酬受領の可否と、実務上気をつけるべきポイントを弁護士の視点から整理します。

媒介とは

そもそも媒介(仲介)とは何でしょうか。媒介とは、「契約の成立に向けて尽力する行為」とされています。抽象的な定義ですので、どのような行為であればこれに当たるのかが問題となります。

媒介に当たるかどうかが問題となる行為

よく問題となるのは客を仲介業者に紹介する行為です。紹介者は仲介業者から紹介手数料を受領しますが、この紹介行為が宅建業法上の「媒介」に当たるとすれば、宅建業者でなければ紹介者にはなれないということになりますし、宅建業法上の各種規制が適用されることになります。

この点に関して参考になるのが、経済産業省のグレーゾーン解消制度の事例です。「顧客に不動産業者の会社情報を提供し、顧客と不動産業者が希望する場合には両者の面談に同席し、売買契約が成立した場合に不動産業者から顧客情報提供の手数料を収受する行為」が宅建業に当たるかという問い合わせに対して「物件の説明、契約成立に向けた取引条件の交渉・調整等の行為は、顧客と不動産業者との間で直接行い、事業者は一切関与しない」ことを理由に、宅建業に該当しないとの回答がなされました。

このグレーゾーン解消制度における回答では「物件の説明、取引条件の交渉・調整等の行為」に関与していないことを理由に宅建業ではないとしています。したがいまして、客を仲介業者に紹介する行為も、「物件の説明、取引条件の交渉・調整等の行為」に関与していない限りは、基本的には宅建業に当たらないと考えられます。
また、客の紹介以外の行為であっても、「物件の説明、取引条件の交渉・調整等の行為」に関与しない行為であれば、宅建業に当たらないと言えるでしょう。例えば、不動産の利活用について不動産オーナーに助言するなどの行為は、宅建業に当たらないでしょう。

もっとも、これらの業務を受託する際は、業務委託契約を書面で締結し、業務内容には宅建業に当たる業務は含まれないことを明確にしておきましょう。これは、宅建業に当たる業務を受託していないことを明確にしておくためのリスクヘッジ措置です。なお、こうした助言業務を受託した後、さらに同一事業者が媒介業務を受託する場合があります。宅建業法では、媒介業務に関して収受できる媒介手数料の上限が決まっていますが、助言業務は媒介業務ではないため、この上限規制も適用されません。

媒介に当たるかどうかのポイント

媒介に当たるかどうかのポイントは以上のとおりです。
整理しますと、「物件の説明、取引条件の交渉・調整等の行為」に当たるかどうかが重要です。媒介に当たらない業務を受託する際には、できるだけ書面で契約を締結することで受託する業務内容を明確化し、媒介に当たる業務を受託していないことを記録として残しておくとよいでしょう。
以下では、仲介手数料以外の報酬の受領について、より具体的に見ていきます。

仲介手数料以外の報酬を受け取ることはできるのか

令和6年6月の解釈運用の見直しにより、媒介業務そのものとは別に不動産取引に関連する独立した業務を行った場合には、その対価を別途受け取れることが明確にされました。結論として仲介手数料以外の報酬の受領は一部可能ですが、鍵となるのは名目ではなく業務としての実態が伴っているかどうかです。名目だけを変えて実質的に仲介手数料を上乗せする運用は、宅建業法に抵触する可能性が十分にあるため注意が必要です。

仲介手数料以外の報酬として認められる代表的な業務

別途報酬を請求できる業務の範囲について、国土交通省の通達は媒介業務以外の関連業務の例をいくつか挙げています。実務でよく相談を受ける類型を紹介します。

コンサルティング業務としての報酬

所有者への助言や総合調整に類する業務であれば、コンサルティング料として報酬を受け取れる余地があります。具体的には、土地活用の課題整理や活用方針の提案、収支のシミュレーション、相続に関する相談対応、境界確定や近隣との権利関係の調整支援、空室対策の提案、税務や建築の専門家紹介などが挙げられます。いずれも媒介業務の範囲を超えた助言や調整を実際に行い、その内容を書面で示せることが前提になります。

管理業務としての報酬

空き家や空室となった物件について、除草や通水、清掃、家財の片付け、定期的な巡回点検、郵便物の保管や転送、修繕提案などを継続的に行う場合は、管理業務としての報酬を別途請求できます。媒介契約とは別に管理委託契約を締結し、業務内容と報酬額を明示しておくことが望ましい対応です。

特別な広告費用

依頼者から特に依頼を受け、通常の範囲を超える広告を実施した場合の費用も、報酬告示上受領が認められています。ただし、通常必要とされる程度の広告宣伝費は仲介手数料に含まれるとされており、依頼者からの明確な依頼と事前の承諾がなければ別途請求は認められないとした裁判例もあります。

弁護士に相談するメリット

仲介手数料以外の報酬が認められるかどうかは、業務の実態や契約書の作り方によって結論が変わる、判断の難しい領域です。弁護士に相談すれば、コンサルティング契約書や管理委託契約書を媒介契約と切り分けて設計し、業務内容と報酬額を適切に説明できる体制を整えられます。行政処分や依頼者からの返還請求といったリスクを事前に洗い出し、トラブルが起きた際にも初動から対応できる点は、社内だけで判断するよりも大きな安心材料になります。

まとめ

仲介手数料以外の報酬は、一律に禁止されているわけではなく、実態を伴う独立した業務であれば受け取ることができます。ただし線引きを誤ると宅建業法違反のリスクが生じるため、契約書の設計段階から弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。
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