土地をデベロッパーに売却する場合、売買代金が重要であることは言うまでもありません。しかし、重要なのはそれだけではなく、契約不適合責任や特約の内容も重要です。
ここでは、不動産オーナーの立場に立って、土地の売却の際の注意点を見ていきます。
土地の売却の際の基本的な注意点
土地の売却の際、売買代金以外で典型的に問題になる事項の一つに契約不適合責任があります。契約不適合責任は、売主と買主間で合意することで免責することも可能です。ただし、売主が宅建業者である場合、原則として、契約不適合責任を完全に免責とすることはできず、物件の引き渡しから2年間は契約不適合責任を負う必要があります。ただし、買主も宅建業者である場合は、例外的に契約不適合責任を完全に免責とすることも可能です。
なお、売主が事業者、買主が個人である場合は、消費者契約法の適用がある場合があり、その場合は契約不適合責任を完全に免責することはできません。
また、契約不適合責任は免責と合意したとしても、それであらゆる契約不適合から免責されるわけではありません。知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定しまたは第三者に譲り渡した権利については責任を免れることはできませんので注意が必要です。
契約不適合責任以外では、土地の売却の際に様々な特約が付く場合があり、その特約の内容にも十分注意する必要があります。
買主は、何等かの目的をもって当該土地を取得するわけですから、その目的の障害になる可能性がある事項については、契約書でリスクヘッジしようとします。もっとも、リスクヘッジの度合いにも濃淡があります。契約締結交渉においては、買主において譲れない条件かそうでないかを見極めたうえで交渉することが重要です。
土地の売却の際に特に気を付けるべきこと
土地の売却の際の基本的な注意点は以上のとおりですが、次に、特に気を付けるべきこととして、売却したい土地にかかる権利関係が複雑な場合について説明していきます。
例えば、土地を賃貸しており、土地上に借地人が所有する建物が存在する場合、土地を売却する際には借地権や建物の取扱いが問題となります。もちろん、買主が権利関係はそのままに土地を取得したいということであれば特に問題はありませんが、開発業者が買主の場合、開発業者としては開発の支障となる権利関係をクリアできる見込みが立たないと現実的には取得することができません。そのためには、借地人との間で、借地契約を合意解約し建物から退去するなどの合意を形成すべく交渉していくこととなります。その際には、立退料を支払うなどの措置が必要となる場合もあるでしょう。なお、こうした事態を避けるためには、土地を賃貸する場合は定期借地契約を利用することも一つの選択肢です。ただし、事業用ではない通常の定期借地契約は契約期間が50年以上でなければならず、賃貸人にとっては利用しにくさがあります。事業用定期借地契約であれば、最短で10年まで契約期間を短縮できますので、長期的な視野に立つと、事業用定期借地契約を締結しておくというのも一つの戦略です。
また、借地契約を合意解約し、建物から退去することで合意が取れた場合、売主としては早期に売却したいものの、買主としては建物から退去することを確実なものとしてほしいという要望があるのが通常です。そのような場合には即決和解手続きを利用して、買主の懸念に対応することになります。
土地売却の際のポイント
土地売却の際のポイントは以上のとおりです。
ここでは、契約締結時に契約不適合責任をどのように定めるか、特約に注意すべきこと、また土地にかかる権利関係が複雑な場合について説明しました。
弁護士に依頼するメリット
土地売却の際は、契約の内容として、契約不適合責任や特約に注意する必要があります。売主にとって、これらの内容次第でリスクは大きく異なります。また、権利関係が複雑な場合、即決和解を絡めてスキームを組んでいく必要があります。そのためには、この種の事案への対応経験が豊富な弁護士に相談することを推奨します。
まとめ
ここでは土地の売却の際の注意点についてオーナー目線でご説明しました。
実際に土地売却で判断に迷った場合、ここでご説明した点を意識して対応されてください。
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